【OTパパが解説】子どものはさみ練習はいつから?一回切りから始める上達3ステップとおすすめの子ども用はさみを紹介
こんにちは、よもちゃんです。
子どもの工作に欠かせない「はさみ」。
いざ子どもにはさみを渡そうとしたときに、こんな不安が頭をよぎりませんか?

- 「2歳から使えるって本当?指を切ったらどうしよう…」
- 「教えようとしてもなんとなく切らせちゃう」
- 「もしかして左利き?不器用なのは教え方のせい?」
親にとって、子どもに刃物を持たせるのは勇気がいることですよね。
間違った教え方をすると変な癖がついたり、怪我につながるケースもゼロではありません。
私はこれまで作業療法士として、一児の父として、子どもたちと関わってきました。
そんな私から見れば、はさみは危険な刃物ではなく、脳と手を育てる最高の道具なんです。
はさみのデビューには年齢は関係ありません。
本当に見るべきなのは、お子さんの「身体のサイン」と「興味の有無」だけ。
この記事ではプロの視点と自身の実体験を交えて、以下のことをわかりやすく解説します。
- 年齢に頼らない「はさみ開始のサイン」
- 失敗しない「道具選び」と「環境設定」
- 不器用な子どもでも上達する「魔法のステップ」
この記事を読み終える頃には「危ないからダメ!」と止めていた不安がなくなり、
自信を持って子どもたちとはさみの練習を楽しめるようになりますよ。
正しいステップを踏めば、驚くほどはさみが上手に使えるようになります。
ぜひ最後まで読んで、お子さんの「できた!」を一緒に増やしていきましょう!
目次
はさみの練習はいつから?
年齢ではなく「サイン」で見極める

はさみの操作は「2〜3歳になったら」という考えは曖昧で抽象的です。
重要なのは「“体”と“心”の準備」ができているかどうかです。
体の土台と手先の動き、はさみへの興味があれば、誰でもチャレンジすることができます。
もちろん、年齢が低いお子さんほど、最初のお手伝いは必要になってきます。
年齢に関係なく、以下の3つのサインが見られたら、練習をスタートする合図です。
【チェックリスト】3つの発達のサイン
椅子に座って姿勢を保てるか(体の安定)
手先を器用に動かすには、土台となる体の安定が不可欠です。
道具を操作しながら、背筋を伸ばした状態をキープできるかを確認しましょう。
姿勢は椅子でも床でも構いません。まずは「座っていられること」が最初のハードルです。
手の「グーパー」動作がスムーズか
はさみの開閉動作は「グー・パー」の動きが基本です。
3歳頃にはグー・チョキ・パーのそれぞれの形を作れるようになる子が多いですが、まずは単純な「握る・開く」ができれば十分です。
これができればはさみの練習を始めるきっかけとなります。
はさみや工作に興味を持っているか
最も大切なのは本人の意欲です。無理強いは絶対にNG。
体や手先の操作が上達してきたからとにかく練習すればいいというわけではなく、お子さん自身の気持ちを置いていかないように注意しましょう。
スプーンやペンなど、道具を使うことに興味を示し始めたり、はさみ自体に関心を示したら練習開始のチャンスです。
子どもの「これなに?やってみたい!」という興味の種を見逃さないようにしましょう。
【専門家解説】なぜ姿勢とグーパーが大事なの?

私たちの体は、中心(体幹)から末端(指先)へ向かって発達します。
木の幹がしっかりと育つことで、枝葉も大きく広がっていくのと似ています。
体が安定して初めて、指先が自由に動き出します。
最初はグーパーしかできなくても、徐々に指が独立して動き始めます。
焦らず、まずは土台を確認しましょう。
さらに、指を使う遊びを通して、徐々に指をバラバラに一本ずつ動かせるようになり、次第に手の親指側と小指側、2つの別れた操作が可能となります。
親指と人差指でのつまみの力がついてくると、より細かい操作が行いやすくなってきます。
これらの体と手の発達サインを見れば、はさみの練習ができるかどうかが見極めやすくなるはずです。
失敗しない準備!OTおすすめの道具と環境設定

さっそくはさみを使わせてみようと思っても、何を使わせたらいいか悩みますよね。
何を使わせるかで、上達スピードは劇的に変わります。
切れないストレスを感じさせないように、適切な道具と環境を整えてあげましょう。
【道具選び】切りやすいはさみのおすすめ条件3選
プラスチック製のはさみは安全ですが、切れ味が悪く、無理に引っ張ってちぎろうとするなど、独特の癖がついてしまい、後々操作しにくくなる可能性があります。そのため、最初から「切れるはさみ」を選びましょう。
道具選びのポイントは3つ
- 手の大きさに合ったサイズ
大きすぎると穴の中で指が動いてしまい、はさみが安定しません。推奨年齢に合った商品を選びましょう。穴が大きすぎる場合は、穴に入れる指の本数を調整したり、テープを巻いて穴の大きさを調整するのが有効です。 - ステンレス製(よく切れるもの)
「切れた!」という感覚を感じることで、動作の学習が進みます。怪我に注意しながら、切れ味の良いステンレス製のものを選びましょう。 - バネ付きタイプ
はさみの操作は閉じることよりも開くことのほうが難しいです。バネの力で自然に開くタイプなら、手の力を抜くだけで自然にはさみが開くため、切ることだけに集中できます。
おすすめのハサミと教材の紹介
我が家では1歳の子どもにクツワさんの教育はさみ「きっちょん」を使用しています。
バネ付きタイプで、刃先も保護されているため、怪我がしにくいようになっています。
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子どもの意欲が湧くキャラクター物でおすすめなのはこちら。
バネは付いていませんが、同じくらいの大きさで刃もカバーされていて使いやすいです。
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3歳〜4歳くらいの手が大きくなってきたお子さんにはこちらのはさみもおすすめ。
刃がアーチ型になっていて、紙が切れやすい角度で設計されています。
切り心地がとても良く、お子さんも使いやすいはさみです。
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一回切りができるようになったときに、ダイソーで購入したはさみ教材を使いました。
この教材は一回切りで切り取れるところがたくさんあり、連続切りの練習ができる部分もあります。なにより、切った後に「貼る」遊びにも繋げられるため、楽しんで練習したい方におすすめです。
無料プリントなどで練習を始めるよりも、まずはこういった子ども用の教材で楽しみながらチャレンジしてみてください。

【紙選び】最初はコピー用紙ではなく「画用紙」を使う
どんなはさみを使うかに意識が向きやすいですが、実は「切るもの」も重要です。
どんな厚さの紙を切るかで手で感じる感覚が大きく変わり、切りやすさに直結します。
最初にコピー用紙は難易度が高い!最初に「画用紙」を使うべき理由
最初に切るものとしておすすめなのは「画用紙」です。コピー用紙やチラシは紙に張力がないため非常に切りにくくなっています。厚みのある画用紙を使うことで、反対の手でも支えやすくなり、切っている感触を味わいやすくなります。
ダイソーなどの100円ショップではカラフルな画用紙がたくさん売っているので、まずは100円ショップで画用紙を購入してみましょう。

最初は「1回切り」用に、細長く(1〜2cm幅)切った紙を用意しよう
最初は1回切り用に、紙を幅1〜2cmの細長い短冊状に切って渡しましょう。
いきなり大きな紙を切り始めると、連続して切ることが難しいため、途中で止まってしまいます。最初は一回動かすだけで紙が切れるように設定し、はさみの使い方を覚えていきましょう。
【環境の調整】机と椅子?それとも床?

最もベストな姿勢は、机と椅子のセットです。
- 足が床や足置きにしっかりと着いていること
- 机に肘や腕を乗せられること
これだけで体が安定し、指先のコントロールが格段に良くなります。
床で行う場合は、体が丸まりやすくなります。その際は脇が開きすぎないように、親が体を軽く支えてあげると良いでしょう。
【実践編】子どもが劇的に上達する「教え方」の3ステップ
ここからは具体的な練習方法です。
「お約束」から初めて、スモールステップで進めていきましょう。
STEP 0:親の立ち位置と「お約束」
始める前の大切な「お約束」
- 刃を人に向けない
- はさみを人に渡すときは刃を閉じて持つ
- 親と一緒に座って使う
はさみを使うことは怪我のリスクがあるため、使う際のお約束は必ず守るようにしましょう。ルールを守ることが最初は難しくても、使うときは必ず守ることを徹底することで、道具の使い方とともにルールも一緒に学んでいってくれます。
親は「真後ろ」から手伝う
親は子どもの「真後ろ」でサポートしましょう。二人羽織のように後ろから包み込むことで、子どもの手元が見え、自然な角度でサポートができます。実際の動作では、子どもの運動学習を妨げないというのが大きなポイントです。親が手伝いすぎると、子どもの発達を妨げる要因になりかねません。
STEP 1:持ち方のコツと「補助手」の役割
はさみの持ち方は2種類
持ち方は大きく2種類あります。やりやすい方を選んでみてください。
- 親指+中指・薬指(人指し指は輪の外に添える)
はさみの種類によっては、この持ち方を推奨していることがあります。
安定感があり、力が伝わりやすいため紙が切りやすくなります。 - 穴に指が入るだけ入れる
手が小さいお子さんは人差し指も穴に入れたほうが空間ができず、操作が安定します。

★重要:反対の手(補助手)の役割
うまく切れない原因の9割は、紙を持つ手が動いていないことにあります。はさみに必要ななのは利き手の器用さだけでなく、両手の協調的な動きです。慣れてくると右手は大きく動かさず、左手をよく動かすようになっていきます。「切りやすい位置に紙を動かす」、「紙をピンと張る」ことを親が助けてあげてください。
これで子どもがサクサク切れる感覚を掴みやすくなります。子どもにも「反対の手も動かすんだよ」ということを少しずつ伝えていきましょう。
複雑な形になるほど、右手は大きく動かさず、左手が動くようになっていくよ!
STEP 2:まずは「1回切り」で成功体験を積む

短冊の画用紙は写真のようなイメージです。後述する連続切りの練習のときは、一番上のように太めの紙を用意しましょう。ステップアップして曲線に行く前に少しずつ角度を変えた線を用意するのがおすすめです。
まずは細い紙を「ちょっきん!」と切るだけ
準備した細い画用紙を、ちょっきん!と1回で切り落とす練習です。1回で切れる体験を重ね、はさみという道具の特性を知ってもらいます。サポートしながらで良いので、はさみを閉じる動作をお子さん自身にやってもらいましょう。
切った紙を料理に見立てるなど、遊びにつなげる
切った紙は楽しい遊びへと繋げてみましょう。我が家では切った紙切れを集めてお皿に盛ったり、空いたペットボトルに入れてマラカスにしたり、木の葉っぱに見立ててペタペタと紙に貼り付けたりして遊んでいました。「切る」ことで遊びが広がる実感を楽しんでもらいましょう。
視覚的なサポートの重要性
太い線を書いて「ここを切るよ」と分かりやすくする
紙を切る動作に慣れてきたら、「線を切る」ステップにレベルアップしましょう。サポートとしてオススメなのは、はっきりとした色の蛍光ペンやマーカーで太い線を引いてあげることです。視覚的に切る場所がわかりやすくなるだけでなく、なにより失敗しにくいです。「すごい!できたね!」と褒めながら子どもにも達成感を味わってもらいましょう。
切る線は太いマーカーなどで見やすく引いてあげよう!
STEP 3:連続切りへのステップアップ
1回切りがスムーズになってきたら、大きな紙を渡して連続切りに挑戦していきます。
ステップアップの目安は「はさみと紙の持ち方」
ステップアップの目安としては「はさみを紙に対して起こして持つことができることが増えてきた」、「反対の手で紙を安定して持ち続けられるようになってきた」などがポイントです。
連続切りの練習方法とポイント
紙の長さを1〜2cmから5〜6cmに変え、直線を連続して切っていきます。ここでのポイントは「切るときにはさみを完全に閉じないこと」です。完全にはさみを閉じてしまうときは、親がはさみの穴の間に指を入れて、閉じないようにサポートしてあげましょう。
どうしてもはさみを閉じてしまうときは、「刃先にテープを巻く」のがオススメ!テープの厚みではさみが閉じにくくなります。
連続切りの練習から「持ち替え」の練習へ
刃を閉じる動きを自分で止められるようになると、軽く閉じたはさみで紙をとめる操作ができるようになります。これにより、反対の手で紙を持ち替える動きができ始めます。そこまで上達してきたら、次のステップへ進むサインです。複雑な形を切るときは方向をかえる必要があるため「持ち替え」の技術が大事になってきます。
ここから先は「長い直線を連続して切る→四角→三角→丸」と順に難易度を挙げていきましょう。方向を変える練習として、まずは直線の向きを少し変えて練習すると良いですよ。
こんなときどうする?うまくいかない時の処方箋
無理強いはNGです。
練習という意識は忘れて、遊びに変えてあげましょう。好きなキャラクターの絵をちょきちょきしたり、親が楽しそうに切る姿を見せてあげてください。集中力は数分しか持ちません。「楽しかった!」と思えるうちに切り上げるのが継続のコツです。
まず子どもの姿勢を見てください。
脇が開いていませんか?脇が開くと肘が上がり、はさみが横に寝てしまいます。これでは刃が紙をかむだけで切れません。「脇をギュッと締めようね」と声をかけたり、親が手を外側から回すなどして腕が広がらないようにしましょう。はさみはできるだけ垂直に立てて使えると良いですね。
よくある質問
どちらで使ってもOKです。
2歳頃は左右どちらも使う発達時期であり、まだ利き手が定まっていません。
スプーンやペンを持つ方など、よく使う方の手で持たせてみてください。
できるだけ「左手用のはさみ」を用意してください。
右手用のはさみを左手で使うと刃の合わせが逆になり、切り口が見えにくくなってしまいます。そのため、必ず右手用・左手用でそれぞれ対応した手で使うようにしましょう。
世の中には左利きの人でも「はさみやペンは右手で使う」という人が大勢います。これは子どもの頃から右手を使うことを練習していたからこそできるものです。まだまだ世の中は右利きの人が使いやすいように設計されています。外ではさみを使いたいときに、「左手用のものがない…」という場面にも出会すことでしょう。そのように考えると、最初から右手用のものを使わせるのも一つの考えだと思います。その場合、最初は操作が上手くいかないことを念頭に、しっかりと親がサポートしてあげましょう。
これだけはやめて!親のNG行動3選
- 失敗を叱る
- 目を離す
- 長時間やらせすぎる
大前提として、子どもを叱りながら取り組むことはしてはいけません。
はさみは高度な脳の働きと両手の操作が必要な作業です。最初はできなくて当たり前。
できないことを叱らずに、慣れるまでは必ずそばで見守ってあげましょう。
はさみ練習で育つ「生きるチカラ」
はさみは単なる工作道具ではなく、脳と体(集中力・巧緻性)を育てる最高の教材です。
年齢や周りの子と比べる必要はありません。
お子さんの「やってみたい!」というサインを見逃さず、親子で楽しみながらステップアップしていきましょう。
失敗しても大丈夫。「今日も楽しかったね」と親子で笑い会える時間が、子どもの成長の糧になります。
せひ今日から、親子ではさみ遊びにチャレンジしてくださいね!

失敗しても大丈夫!まずは一緒にチョキンと切ってみよう!
